動物の処分方法に関する
指針の解説について

97.3.2 更新

L.Forceからのコメント

 これは、日本捨猫防止会が、社団法人日本獣医師会の許可を得て「動物の処分方法に関する指針の解説」から抜粋・製本・配布している小冊子を書き写した物です。
 「動物の処分方法に関する指針の解説」は、総理府が示した「動物の処分方法に関する指針」を元に、社団法人日本獣医師会が発行しているものです。
 愛玩動物の安楽死のあり方、行政による殺処分の実体と望ましい姿、どうか一度全文を読み、そして考えてみて下さい。

 このホームページは、日本捨猫防止会の許可を得て運営していますが、管理の一切は私・石田 徹(L.Force)が行っております。
 このホームページついて、日本捨猫防止会ならびに(社)日本獣医師会に問い合わせられることはご遠慮下さい。

 入力ミス等で内容に不備がありましたら、その非の一切は私にあります。
 なお、目次中、リンクを貼っていない項目は小冊子には含まれておりません。


日本捨猫防止会からのコメント

 昭和51年に動物処分方法関係専門委員会が招集されて依頼、長年の討議を経て指針が定められ、今回、その解説書が刊行されました。
 日本捨猫防止会創立35周年記念事業の1つとして、(社)日本獣医師会発行の"動物の処分方法に関する指針の解説"の中から、同会の特別のご協力とご理解をいただき、愛玩動物(犬・猫)に関する部分を抜粋した小冊子を作りました。
 愛玩動物は終生飼養が原則ですが、飼養者側又は動物側にどうしてもやむを得ない事情が生じて殺処分を考えなくてはならない場合の、動物病院での処置と行政での処置の望ましい姿について記載されています。
 死について考えることはより良い生について考えることでもあるので、何事もない時にこそ読んでおかれては如何でしょう。全国の都道府県・政令市の動物保護管理行政担当にはお送りしましたが、あなたの街の担当窓口やホームドクターの所にもお届けになっては如何でしょう。
 生命の尊厳を考える時にいささかでもお役に立てれば幸いです。

1996.12

※このページを印刷して使用されて結構ですが、その際はこのページ全文を印刷して下さい。URLの表記もお願い致します。また、配布のために印刷では使用にたえない等の理由で小冊子を入手したい方は、入手法をメールにてお問い合わせ下さい。
 なお、日本捨猫防止会からのコメントは、2つの文章から私の手により再構成しています。(石田)


抜粋

動物の処分方法に関する
指針の解説

 

内閣総理大臣官房管理室監修
動物処分方法関係専門委員会編

社団法人 日本獣医師会


動物処分方法関係専門委員会委員

 以下、委員の氏名等が列挙されていますが、個人名につき省略させていただきます。(石田)


目 次

動物の処分方法に関する指針


動物の処分方法に関する指針の解説

第1 一般原則

第2 定義

第3 処分動物の処分方法

第4 補則

参考資料


[目次]

動物の処分方法に関する指針

平成7年7月4日
総理府告示第40号

第1 一般原則

第2 定義

第3 処分動物の処分方法

第4 補則

 1
処分動物の保管に当たっては、「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準」(昭和50年総理府告示第28号)、「展示動物等の飼養及び保管に関する基準」(昭和51年総理府告示第7号)、「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」(昭和55年総理府告示第6号)及び「産業動物の飼養及び保管に関する基準」(昭和62年総理府告示第22号)の趣旨に沿って適切に措置するよう努めること。
 2
対象動物以外の動物を処分する場合においても、処分に当たる者は、この指針の趣旨に沿って配慮するよう努めること。


[目次]

第3 処分動物の処分方法


 本節は、この指針の中で最も重要な箇所で、完全な遵守が望まれる。 ただし、社会の変化に応じて動物観は変わるものであり、処分方法は獣医学の進展と共に進歩していくものであるから、この指針の中に具体的な処分方法を記述しておくと、将来、新しい状況に敏速に対応できない場合が生じるおそれがあるので、具体的な処分方法は「解説」として記しておくことがよいと思われる。 このことは、もし十分な理由がある場合は、この指針の解説に記述されていない別の(新しい)処分方法を適用すべきことを意味している。

 同じ動物種は、同じ方法で処分されることが望ましい。 例えば、犬には一般家庭で飼養されている愛がん用犬、各種の作業犬、サーカス等の展示用犬、科学目的に供される実験用犬等がある。 更に、地方自治体が住民から引き取った犬や狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)に基づいて抑留した犬もある。 これらのカテゴリーが異なる犬が処分の対象となる事態が生じた場合、それぞれ別の処分方法が採られることは好ましくない。

 したがって、この指針の解説では、本来ならば、利用目的にとらわれずに各動物種(あるいは群)ごとに統一した処分方法を示すべきであるが、現実問題として人の利用目的との調和も必要で、異なる方法を採らざるをえない事態も予想されるので、本節では愛がん動物、展示動物、実験動物、産業動物に分けて記述することにした。

 処分動物の処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる
限り処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪
失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によ
るほか、社会的に容認させている通常の方法によること。
               (第3 処分動物の処分方法)


[目次]

1.一般原則

 この指針でいう処分において最も重要な点は、できるだけ速やかに動物を意識の喪失状態にし、その後、致死のための処置を施すことである。
 具体的には、処分動物を穏やかに扱い、原則として動物を意識の喪失下で致死させる処置を施すべきである。 動物を意識の喪失状態にするためにも、麻酔注射以上の苦痛を動物に与えない注意が必要である。
 この一連の行為を「安楽死処置」ともいう。
 なお、実験動物と産業動物の処分に当たっては、それぞれの利用目的を達成させる必要があるから、愛がん動物や展示動物と異なり、必ずしも安全な安楽死処置が施せない事例もあろう。 その場合でも、利用目的だけを優先させることなく、この指針の制定された趣旨を尊重し、調和のとれた常識ある判断に従い、社会的に容認されている通常の方法によることが大切である。
 諸外国における動物の処分に関連する法規の例を以下に掲げる。


[目次]

2.愛がん動物(一般)

 愛がん動物については、当然のことながら終生飼養が原則である。 しかしながら、様々な理由でこれが実行できない事態に陥ることがあり、やむを得ず殺処分の対象となるケースとして、飼養者の病気、死亡等で飼養が継続できず、引き取り手もない場合、転居等で、新しい住居で動物の飼養が禁止されており、引き取り手がどうしても見つからず、飼養の継続が不可能である場合など飼養者側に問題が生じたケースや、病気、事故等により動物の健康回復の見込みがなく、苦痛を伴う病状が継続しており、動物にとって安楽死処置を行うことが妥当と判断される場合など、病気等健康上の理由によるケースが考えられる。

(1)安楽死処置に用いられる方法

 愛がん動物を処分する際に、その方法を評価する基準は、(1)無痛死をもたらす効力、(2)意識喪失に至るまでの所要時間、(3)死亡するまでの所要時間、(4)効果の信頼性、(5)実施者に対する安全性、(6)動物が受けるストレスの軽減、(7)非可逆性、(8)立会人又は実施者に対する情緒的な影響、(9)経済性、(10)薬剤入手の可能性、などが挙げられ、次のような方法がある。
ア.吸入薬剤による処置
 獣医臨床領域で常用されている吸入麻酔剤として、エーテル、ハロタン、メトキシフルラン、エンフルラン、イソフルラン等が利用でき、吸入麻酔器で処分動物に合ったマスクを用いるか又は密閉したケージに収容し(又はポリエチレンの袋で覆う)、麻酔等を浸したガーゼを入れる。 呼吸停止に続いて心停止が起こり死亡する。
 吸入麻酔剤のほとんどは揮発性で、皮膚や粘膜に刺激があるので、動物の体に付着しないようにし、空気又は酸素とともに供給して導入を行うのがよい。
○利点
 犬、猫だけでなく、鳥類、げっ歯類等に広く応用できる(4 展示動物、5 実験動物 の項参照)。 エーテルを除く他の麻酔剤は不燃性で非爆発性である。
○欠点
 意識の喪失状態に導入されるときに、もがきや不安状態が起きることがある。
 エーテルは、可燃性、爆発性なので炎やその他火気に注意する。
 使用後の排気、換気に配慮しないと実施者や他の動物が、これらの薬剤によって傷害を被る可能性がある。
 小動物以外には、エーテルを除き、経費の負担が大きい。

クロロホルム
 クロロホルムは、実験用小動物や小鳥等の安楽死によく使用されていたが、肝毒性が強く、発がん性物質の疑いももたれている。 人に対して危険度が高いので、接触あるいは吸引しないような条件下でのみの使用が勧められる。
 また、非爆発性であるが、引火性があるので炎のあるところでの使用は避ける。

炭酸ガス(CO2
 炭酸ガスは空気中に0.04%含まれており、その高濃度の吸入による麻酔効果はよく確かめられている。
 犬、猫の安楽死用に広く用いられ、また、食肉用の豚のと殺前の麻酔用としても使用されはじめている。(3 愛がん動物(行政)、6 産業動物の項参照)。
 炭酸ガスは30%〜40%濃度でもほとんど無臭で、動物でも関知し得ない。 1〜2分で鎮静状態となり、数分で呼吸停止、心停止にいたり死亡する。 もがき、嘔吐などの副作用が見られることがある。
○利点
 (1)短時間で沈静、麻酔効果が得られる、(2)ボンベ入り、又はドライアイスとして固体で購入できる、(3)低廉で不燃性、非爆発性、用法を誤らなければ人体にも危険はほとんどない。
○欠点
 (1)炭酸ガスは空気より重いので、充満した密閉ゲージ内では、背の高い動物や、上に登る動物は効果発現が遅れることがある、(2)子犬、子猫のように幼若な動物、ハムスターのように冬眠する動物では、死亡するまでの時間が長引く。
○使用上の注意点
 (1)昏睡、無痛覚に至る前に酸素欠乏による不快な動作(口をパクパク開ける)をなくすためには、30%程度の酸素(O2)を加えるとよい、(2)ドライアイスを使用する際には、動物に直接触れないようにし、凍えたり、冷えたりしないようにする。

イ.非吸入性薬剤による処置
 安楽死に使用できる非吸入性薬剤はいろいろあり、投与方法も注射法、経口法があるが、効果が短時間で現れ、確実性が高いのは静脈内投与法である。
 現在、最も繁用されているのは、バルビツール系麻酔薬であり、それ以外の薬剤もあるが、動物病院で使用するのには一般的でない。

バルビツール系麻酔薬
 本剤は、大脳皮質より下行性に中枢神経を抑制する。 静脈内投与後、数秒で意識不明となり、続いて深麻酔に進行する。 投与を続行すると呼吸中枢の抑制により、呼吸停止、心停止に至り、死亡する。
 通常、ペントバルビタール・ナトリウムが多く用いられる。
○利点
 (1)投与量、濃度、注射速度により異なるが、一般に麻酔量の2〜3倍量の急速な静脈注射で効果が得られる、(2)鎮静、知覚喪失、昏睡の課程がスムースに得られ、死に至るまでの動物の様子に不快さがなく、観察者にとっても印象がよい、(3)通常、一般の動物病院には麻酔薬として常備されている。
○欠点
 静脈内投与が最も効果的な方法であるので、麻酔薬として製品化されている本剤では静脈内投与用として濃度を低くしてあり、腹腔内、胸腔内等への投与では効果発現までの時間が延長される。
○使用上の注意
 静脈注射が困難な興奮しやすい動物、凶暴な動物では、塩酸キシラジン、塩酸ケタミン等の鎮静剤の前投与を行った上で実施するのが望ましい。
 子犬、子猫、小型げっ歯類等では腹腔内投与でも代用できる。 また、心臓内投与も効果的であり、腎臓内投与も可能であるが、いずれの経路も注射技術に熟練していないと、投与する臓器を探り当てるまで何度も注射針を刺し直すことになり、動物に穿刺痛を与えるだけでなく、立会人に不快の念を抱かせる結果となるので注意が必要であろう。

その他の非吸入性薬剤による処置
 かつては、抱水クロラール、硫酸マグネシウム、硝酸ストリキニーネ、塩化ツボクラリン、ニコチン等も用いられていたが、それぞれの薬理作用から死に至るまでの課程で、もがき、筋肉痙攣、硬直、唾液分泌、嘔吐、排便、排尿、発声など随伴症状がみられることが多いので使用すべきではない。 また、死を迎えるまで意識がある塩化スキサメトニウム(塩化サクシニルコリン)等の筋弛緩剤も単独では安楽死用薬剤として使用すべきではない。

ウ.物理的方法による処置
 頸椎脱臼、放血等意識喪失を来す物理的方法があるが、感覚的に不快なこと、外傷性傷害が付随することが多いので、動物病院における処分方法としては勧められない。
 犬、猫以外の鳥類、げっ歯類等の処分方法の詳細は、展示動物、実験動物の項を参照されたい。

(2)愛がん動物の安楽死処置に対する獣医師の考え方

 愛がん動物に対する安楽死の処置は、動物の飼養者(時には動物を保護した人)の要望により、開業獣医師が実施するか、行政機関に収容された後に処分されることになる。
 我が国では、愛がん動物の安楽死決定に関するガイドラインについて検討されたことがなく、個々の飼い主の判断と獣医師の裁量によって実施されている。 このことは、一般的には容認されているが、ときには飼養者がそれを依頼しても、「動物の生命を断つ」ことを拒絶する獣医師もいる。 これは、安易にこれを引き受けることは「一個の生き物としての動物の価値を軽視する」ことになりはしないかという考え方に基づくものである。
 外国の獣医師の安楽死処置に対する考え方の例を以下に示す。

外国の獣医師の安楽死処置に対する考え方の例

 安楽死の処置は、獣医師に託された重要な仕事の一つである。 安楽死処置を受ける動物が不安や恐怖を覚えないためと、安らかな死を迎えたことを確認するためにも、信頼されている飼い主の腕の中で注射をするべきであるとの主張もある。 すべての飼い主にこれを要求することは困難と思われるが、感情の整理ができ、目前の悲しみに耐えられる場合は実施すべきであろう。


[目次]

3.愛がん動物(行政)


(1)行政における犬及び猫の処分状況

 飼い主などから、犬や猫を引き取っている地方公共団体は、47都道府県及び動物の保護及び管理に関する法律施行令(昭和50年政令第107号)で指定されている12政令市(平成7年4月1日現在)である。
 また、狂犬病予防法に基づく徘徊犬等の抑留を行っている地方公共団体は、47都道府県及び地域保健法(昭和22年法律第101号)の地域保健法施行令(昭和23年政令第77号)により指定されている33政令市(平成7年4月1日現在、動物の保護及び管理に関する法律で指定されている12市を含む。)である。
 なお、動物の保護及び管理に関する法律では指定されておらず、地域保健法では指定されている市でも、都道府県からの依頼で、犬や猫の引き取りを行っている場合もある。
 行政機関に収容された犬や猫については、法律や条令に基づいた保管をされた後、できる限り飼養を希望する者に譲渡して生存の機会を与えることが原則であり、各地方公共団体において犬や猫の里親探し等が行われている。 しかし、新たな飼養者が見つかることはまれであり、収容された犬や猫のほとんどは行政機関においてやむなく安楽死処分されている。
 愛がん動物の処分は前項(2 愛がん動物(一般))の方法によることが望ましいが、行政機関が数多くの犬や猫を処分しなければならない現状等にかんがみ、行政における愛がん動物の処分を別項として述べることとした。
 現在、行政における犬及び猫の処分は、炭酸ガスを使用する方法が一般的である。

(2)炭酸ガス使用の理由

 炭酸ガスは、無味無臭であり、動物は関知できない。
 炭酸ガスは、動物が一定濃度以上のものを吸入することにより、中枢神経系に規則下降性の抑制を招来し、知覚刺激の敏感な大脳皮質を麻痺させ、順次呼吸中枢を抑制し、昏睡、痙攣、窒息死へと進む。
 なお、処分時の犬、猫の状態に影響を与える因子としては、炭酸ガスの場合、炭酸ガスの流入時の温度、流入圧力、処分機内の気圧変化、流入音、流入濃度など様々な要因がある。

(3)処分の実際

 処分の方法は地方公共団体により若干異なるので、ある地方公共団体の例を紹介する。
ア.炭酸ガス処分機の概要
 処分機は、主処分機と補助処分機からなっており、主処分機は成犬、補助処分機は子犬及び猫の処分に用いられている。
 主処分機は10頭から40頭程度を処分し、同数を焼却できる焼却炉の容量との関連で設定されている。
 処分機はステンレス製の箱形が主で、テレビカメラにより内部の観察ができるものもあり、側面には観察孔があり目視で内部を観察することができるようになっている。
イ.処分機への炭酸ガスの注入
 処分機への炭酸ガスの注入は、液化炭酸ガスの気化による炭酸ガスの温度低下が犬に不安を起こさないよう、ボンベから気化した炭酸ガスを取り出し、熱交換機を通し大気温度に近づける工夫がされている。
 通常は処分機内への炭酸ガスの注入は、処分機底部に設置された小孔から噴出するようになっているが、炭酸ガスは空気より重いため処分機内で均一に拡散するようにせん孔するとよい。
 炭酸ガスの注入と同時に処分機内圧力の急激な変化により不安を与えないよう、炭酸ガスの総口径と同じ口径の排気口から処分機内の空気が屋外へ排出されなければならない。
ウ.適切な炭酸ガス注入方法
 炭酸ガス注入時の処分犬の状態は、テレビモニターを通じて見る限りでは苦悶のような状態が観察された事例もあったが、安楽死のための炭酸ガス注入は、炭酸ガス作用濃度と作用時間等に配慮する必要がある。
 安楽死処分の「苦痛を与えない」という点からは徐々に炭酸ガスを注入し麻酔状態に陥らせてから安楽死へと導入するのが最前であると思われるが、大量処分の現状と処分機の機能との兼ね合いも考慮しなければならない。 炭酸ガス方式による安楽死のための留意事項としては、次のようなことがある。
○導入措置:炭酸ガス吸入による大脳皮質の麻痺
 大脳皮質を麻痺させるために効果的な濃度(濃すぎると酸素分圧が低下し、息苦しさが生じる)により、速やかに行う。
 麻痺状態を発現させるためには、動物の個体差、年齢等の動物側の要因も重要であり、作用時間にも留意する必要がある。
○安楽死措置:酸素欠乏状態による窒息死
 酸素分圧を低下させることにより死亡させる。 ただし、吸引による酸素分圧低下は効率的ではないので、炭酸ガス分圧を導入時よりも更に高めて、結果として酸素濃度を低下させる。
○濃度勾配を作る方法
濃度勾配を利用した麻酔状態の導入
・タンク貯留方式:動物が移動する方式
 炭酸ガスが空気より重い性質を利用して濃度勾配を発生させる。 タンクの上は濃度が薄く、下に降下するにしたがい濃度が濃くなるので、動物をこの勾配の中をゴンドラ等を利用して通過させる。
・空気拡散方式:ガス濃度を変化させる方式
 これは、通常濃度の酸素が存在する処分機に動物を入れ、炭酸ガスを徐々に注入し効果的な濃度とするが、この場合急に炭酸ガス分圧を上げると酸素欠乏が生じ、動物に対して多少の苦痛となるので、低い濃度から徐々に濃度を上げ、大脳皮質の麻痺を招来させなければならない。
 ガスの注入に際しては、空気を拡散させることにより効率的な導入効果が得られる。
 導入効果が発現した後は、速やかにガス濃度を上昇させ致死させなければならない。
○導入効果に影響するその他の要因
・刺激
 導入前、導入時、導入中に刺激を与えると効果の発現が遅れる。
・興奮
 動物が興奮している場合に効果の発現が遅れたり、抑制される。
・動物の大きさ
 基礎代謝量の違いにより効果の発現に差が生じる。
 犬では、吸入量(呼吸量)/時は、子犬よりも成犬の方が多く、目的の効果を得るために必要とする吸入量は、標的臓器の重量に比例する。
 また、動物の体重に占める大脳(標的臓器)の割合は、小型の動物よりも大型の動物の方が小さいため、体重差に比較してわずかな吸入量で効果が生ずる。
・年齢
 一般的に環境変化への適応力は、成犬よりも子犬の方が良く、また有害物質に対しては、大型の動物よりも小型の動物の方が感受性が高い(解毒能力が低い)。


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